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「あーごめんごめん、びっくりさせちゃった? 大丈夫だって、言ったっしょ? 俺、優しいって。こーゆーのはさ、ちゃんと茉優ちゃんの気持ちが乗ってからにするから。今のはちょっとした冗談だって」
「っ、あの、本当に、彼女とか私には無理ですので」
「それって自分は可愛くないからとか、釣り合わないからとかゆー系? ぜーんぜん余裕だって。茉優ちゃん自分で思っている以上に魅力的だし?」
「ええと、だれかとお付き合いとか、考えていなくって」
「んじゃ今から考えたらいいじゃん。俺のこと、別に嫌いじゃないっしょ? 顔も悪くないし、金あるし。めちゃくちゃ条件いいじゃん」
(どうしよう、全然話が伝わらない……!)
ぐいぐいと迫ってくる身体を必死に押し返そうにも、まったく歯が立たない。
せめて掴まれている手だけでも振り払ってしまいたいのだけれど、相手はお客様だと思うと躊躇してしまう。
(もしかして、だから壁に近づいて駐車を?)
私が、逃げだせないように。
気づいた時には私は助手席のシートに背を押し付けられていて、瞳をぎらつかせた顔が迫ってくる。
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