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最初の依頼者は雪女の血族のようです
昼食をとり、タキさんをはじめとする従業員さんたちも巻き込んで離れの掃除に奮闘していた私とマオは、軽くお茶を頂いてから約束の十七時に着くように、依頼者の家がある武蔵小山に赴いた。
マオに品川駅まで運転してもらい、そこから電車で十分ほど。
依頼者は雪女の血を引く、三十五歳の主婦だという。六歳の男の子と、品川に勤める人間の旦那さんと暮らしている。
なんでも以前から狸絆さんに相談をされていたらしく、切羽詰まった状況だとか。
「私でちゃんと力になれるといいんですが……」
狸絆さんから貰ったメモに書かれた住所と、スマホに表示された現地の住所が一致していることを確認して、その家を見上げる。
街の景色に馴染んだ、"普通"の家だ。
クリーム色とグレーがかった二色の外装が温かみのある、二階建ての縦長なフォルム。上はベランダが突き出ている。
掃き出し窓の前には草木の育つプランターが並べられ、子供用の自転車が置かれている。
(ここに、あやかしの血を引く人が……)
「まーゆ」
わ、と思わず声をあげたのは、突如として視界を遮られたから。
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