最初の依頼者は雪女の血族のようです

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 マオが手で覆っているらしい。今日はゆったりとした半袖のティーシャツに細身のパンツと、カジュアルな装いだ。  マオは常の装いも和服を好む狸絆さんとは違って、普段はこうした服装が多いのだという。  ちなみに私はタキさんが用意してくれた、ジョガーパンツにティーシャツを着用している。  動きやすいほうが良いでしょう、と。スニーカーまで用意されていて、至れり尽くせりだ。  マオは私の目元を覆っていた手をぱっと開いて、 「俺もいるし、気負うことはないさ。失敗しちまったら謝ればいい。俺達は俺達に出来ることを、真摯にやってみよう」  にっと口角を吊り上げるマオに、緊張が緩まる。 「そうですね。ありがとうございます、マオさん」  そうだ。悩んでいたって仕方ない。  やると決めたのは自分なのだから、精一杯、出来ることを頑張ろう。  小さく深呼吸をして、表札と並んだチャイムを押す。 「つづみ商店から参りました、家政婦派遣サービスです」 「ありがとうございます、少々お待ちください」  私達を迎えれてくれたのは、依頼者の磯嶋沙雪(いそじまさゆき)さんだった。
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