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元気よく挨拶をする風斗くんに、マオと名前を告げ挨拶を返す。
と、風斗くんは待ちきれないといった風に足を上下させて、沙雪さんを見上げた。
「この人たちが一緒にあそんでくれるの?」
「ええ。けれど迷惑をかけては駄目よ。それと、ちゃんとご飯を食べて、歯磨きもすること」
「わかってるって! ぼく、さきにあっちいってる!」
興奮した様子で走り去っていく背中を見送って、私たちも上がらせてもらうと、沙雪さんが声を潜めて言う。
「すでにお聞きかもしれませんが、私は曾祖母が雪女でして……。このことは、夫や子供には黙っておいていただきたいのですが……」
つまりは、どちらも知らないということ。
マオと視線を交わし、「かしこまりました」と頷く。
今回の私達はあくまで、"ただの"家政婦だ。
リビングに通された私達は、持参した鞄から黒いエプロンを取り出して身に着ける。
風斗くんは待ちきれないようにして、食卓だろう机の上でお絵かきを初めた。画用紙に、クレヨンで色を重ねていく。
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