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いつも通りに5か所目に差し掛かったとき、ふと、初めて見る色の約束が手元にやってきた。
「みずいろ……?」
美しい半透明が、ゆらりとガラス玉の中で揺れている。その色味に目を瞬いていれば、動きを止めたわたしに、ニシさんが「あー、そういえば、教えてなかったっけ」と言った。
「この色の約束は、誰とのものなんですか?」
「ヨンはその色見るのは初めて?」
「はい」
「そうか、ここに来てまだ1年経ったばかりだものね」
ニシさんは最後のひとつを拾い終えると、首にかけていたタオルでふうと額を拭ってわたしの方に顔を向ける。
「その色の約束はね、もう二度と守られることのない約束」
「え……? でも、約束の色は、相手によって違うって、」
「そう。でも、その約束だけは――相手が、もういないんだ」
相手が、もういない?
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