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「それって、どういう、」  ニシさんに尋ねかけて、ハッとした。  手の中で揺れるみずいろのひかりで、気がついたんだ。  相手がいないということは――もう二度と、守られることがない約束だということ。  ニシさんはわたしの表情で何を悟ったか理解したようで「早く忘れちまった方がしあわせだろうと思うけどね」とため息交じりにそう言った。 「……ここにあるってことは、憶えていようとしているってことですよね」 「そうだろうね。人間がそう思った約束しか、この場所には落ちていないはずだから」 「……何で、でしょうね」  守られない約束を憶えていて、何の意味があるのだろう。  そう思う反面、その色彩は美しく純粋で、わたしの視界を奪っていく。 「さぁ、知らね。それより、ほら、早く行こう。腹減った」 「あ、はーい」  手のひらにおさまっていたみずいろの約束をカゴに転がしたら、からん、と冷たい音がした。
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