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約束、という言葉は、ひどく簡単に裏切られるものだと思う。
「はぁ……」
目の前に転がっているのは、今日破られた約束の欠片たち。
「ほら、早く片付けるよ。そうしなきゃ次の便が来ちゃう」
先輩が転がっている透明なガラス球を持ち上げては、記憶のカゴに入れていく。
カゴの中には、あか、きいろ、みどり……色とりどりの美しい球が詰められている。
「はーい」
ここは、死後の世界――冥府の“約束保管所”。
人間たちが気安く交わした約束のうち、守られなかったものが1日の昼と夜、2便届く。約束が届く場所は全部で5か所。昼と夜の決まった時間に、わたしたちはこの5か所をぐるぐる回って、約束の欠片を集めて回る。
約束の欠片は、何もすべてが届くわけではない。人間が意図的に憶えていようとしているもののうち、約束した相手に忘れられてしまったものが透明なガラス球に閉じ込められてここに届く。
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