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あなたと私が出会ったのは初等科の入学式の日のこと。
あなたが憧れ、目指した魔法使いは妖精の力を借りて魔法を使う。初等科一年のあなたたち魔法使い見習いには下級妖精の私たちが学校側から貸し出されることになっていた。
入学式だというのに寝坊して遅刻したあなたはクラスメイトとは別に一人きりで教材室にやってきた。
そこで私と出会った。
あなたと〝友人〟になる予定だった下級妖精は他にいた。でも、あなたは光妖精特有の光り輝く純白の髪と羽を持った私をすっかり気に入ってしまった。
そして、あなたは私が入っている籠を先生の目を盗んで持って行ってしまった。
本当はね、私たち下級妖精は訓練を受けてから初等科のあなたたち魔法使い見習いに貸し出されるんですって。
だというのに、あなたは訓練を受けていない私を持って行ってしまった。
入学式のあとに行われた最初の授業は妖精との契約の儀について。
他の下級妖精たちは今までに何度も、それこそ訓練のときにだって契約の儀をしたことのある経験者たち。
でも、私はあなたとが初めての契約の儀。
あなたと私は何度も何度も失敗して、先生にも、クラスメイトにも、他の下級妖精たちにもくすくすと笑われながらようやく契約の儀を成功させた。
そのあとの授業もずっとそんな感じ。
あなたのクラスメイトはきちんと訓練を受け、経験豊富な〝友人〟の下級妖精たちにフォローしてもらいながら順調に魔法を使えるようになっていく。あなたと私は何度も何度も失敗して、ようやく一つ、二つと使えるようになっていく。
夜遅くまで勉強机に向かって、あなたと私で教科書をのぞきこんで、うんうんうなりながら何度も練習して、試行錯誤して……ようやく。
あなたと私は学年一、学校一の落ちこぼれ。
だけど、だからこそ――一番の仲良しで、唯一無二の親友となった。
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