3人目の証言

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3人目の証言

 3人目は育ちの良さそうな高校生の女の子だった。制服もきっちりと着こなし、絵に描いたようなお嬢様という感じの印象だった。  「張り切ってお会いしたのは良いのですが、結構記憶が曖昧なところもあるので、そこまで重要なことはお伝え出来ないかもしれないです……」  こちらとしては少しでも体験談が欲しいところなので、それで一向に構わない。そのことを伝えると、安心したのか覚えていることを断片的に話し始めてくれた。  「まずあの石がどういうものか、と言う一番大切なところが全く思いだせないんですよね。拾った時には何か大切なことを感じていたはずなのに、石がなくなった途端、その記憶がごそっと抜けた感じがするんです。それに本当にその辺に落ちているような石なのに、見つけた時はすごい存在感のようなものを感じて……。なんだかその存在感が恐ろしかったのですが、なぜか手放すことが出来なかったんです」  その石のことを思い出しているのか、若干苦しそうな顔をしている。その記憶を打ち消すように、控えめに飲み物に手を伸ばす。  「それだけ印象に残る石だったんですが、拾ってから大きく私の環境が変わることもなかったですね。他の方みたいな幸運に恵まれたり、不幸に見舞われたりはなかったです。ただ……」  一生懸命話していたのに、言葉に詰まり始める。ただしばらく逡巡した後に再び口を開いてくれた。  「石を拾って少ししてから、クラスメイトの子が事故で亡くなったんです。ただの偶然なのかもしれないんですけど、石の話を聞いていると無関係とは思えなくて。私が感じた嫌な印象も相まって、あれは呪いの石だったんじゃないかって思ってます」  それだけ話を聞いて彼女とは別れた。亡くなったクラスメイトのことを思ってか、彼女の表情はより一層暗くなっていた。
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