模索

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 あの外国人にはきっちりと借りを返すことにした。  名前なんかどうでもいい。私はあの外国人を捕らえ、郊外の廃屋の椅子に縛り付けた。  外国人が意識を取り戻す。 「私を覚えているよね」 「知らない。お前は誰だ。何故、こんなことをする」 「私は質問をして良いとは言っていない」  そう静かに呟き、顔面に左右の拳を叩き込み、両肩を抑えて右の膝を突き刺すように打ち込む。 「質問をするのは私。答えるのはお前。ここでの私とお前との関係は分かったよね」  外国人は黙り込んで下を向く。 「返事!」  側頭部に蹴りを叩きつける。  外国人は喘ぎ声を上げ、口からボトボトと血を流しながらも、黙り込んだままだ。  だろうね……。  お前の口の固さは分かっているよ。  安心しな。私はお前と違って優しい。殺すような事はしないから。  私はバッグの中から注射器を取り出す。中身は強力な自白剤だ。  外国人は注射器を手にする私を見て、怯えた表情を見せる。  初めて感情を見せたね。  短い時間だけど、楽しませてもらうよ。  外国人の腕に注射針を刺し込み、ゆっくりと自白剤を注入していく。  表情が虚ろになる。 「お前の出身国は?お前が私達を襲った目的は?お前の依頼主は?」  私は質問を簡単な感じにして放っていく。 「出身はR国、目的はお前達が持っている情報を奪うこと、某企業から頼まれた」  質問に簡単に答えてくる。 「某企業の誰が頼んだ?知られたくない情報はなんだ?某企業は何を隠している?」 「誰なのかは分からない。某企業としか。知られたくない?秘密なら、某企業は麻薬を扱っている」  麻薬!  それで、杉山が動いていたのか。  納得だ。 「麻薬を扱っているのか。誰と売買をやっている?」 「誰と言うものではない。K島を経由して、R国に運び込んでいる」  そういう事か。R国のマフィア辺りとでかい取引をやっていると言うことなのか。 「ルートを作ったのは誰だ?R国のマフィアか?」 「分からない。マフィアは絡んでいない」  マフィアが絡んでいない。国そのものが麻薬を認めるとは考えられない。 「絡んでいるのは外交官か?」  声を荒げてしまった。  外国人はぐったりとしてしまい、項垂れた状態で、定まらない視点で虚ろな表情を浮かべていた。  終わったな。 かなり強力な自白剤を使った。 廃人確定だ。 「好きにしろ」  私は外国人を縛り付けていたロープをナイフで切る。  外国人は相変わらず定まらない視点で、じっと椅子に座っている状態だった。  暫くはそのままかな。動き出せるころには、自我を完全に失っているけどね。  殺さずに解放。優しいでしょう。  私は静かに笑みを浮かべる。  この後、私は杉山を運び込んだ病院へと向かい、私が得た情報の一部を伝えたのだ。
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