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御影と会うのは郊外のファミレスで、お客の込んでいない時間帯。
何時ものように軽く挨拶をしたら本題に入る。
「ニコライの家族について、教えて欲しいわ」
「先ずは、ニコライは首都出身という事になっていましたが、K島出身の可能性が高いですね。両親の出身がそこなんですよ。しかも、そこで家族と共に暮らしていたと思われます。外交官になるために過去を作り替えたと考えられますね」
「K島のどの辺りなの」
「小さな漁村でした。場所はこの辺りですかね」
御影はスマフォの地図を見せ、指で示す。
そこは確か、今回の某企業が開発した場所ではない。近くではあるが、外れている。
「どうしました。浮かない表情を浮かべて」
「少し考えたいけど、良いかしら」
御影は静かに頷く。
ニコライがK島出身であることは考えの中にあった。もしそうなら、某企業が開発をしたのは、ニコライの出身地かと思っていたが、当てが外れた。
開発から外れた小さな漁村。
見捨てられたような感じになってしまった故郷。
そういう事か。
杉山、お前からの情報も役にたちそうだぞ。
ある考えが閃いた時、何となくではあるが、納得のいく推測に辿り着けた。
「考えはまとまりましたか」
御影が話しかけてきた。
「朧気ながらだけど……。納得のいかない点もありますよ」
「納得のいかない点ですか。調査しますよ。言ってください」
「ニコライに会ってみますか」
私は嫌らしい笑みを浮かべて、呟くように答える。
「何処にいるかも分からないですよ。それに、危険過ぎます!止めてください!」
御影を熱くしてしまった。
「冗談よ」
「冗談でも勘弁してください!この件で沖田さんにまで死んで欲しくないんです。無茶だけはしないでくだい。お願いです」
「分かったは。無茶はしない。大人しくしているは。調べて欲しい事が思い浮かんだら、また連絡をする」
「お願いします。では、連絡をお待ちしておりますので、くれぐれも無茶だけはしないでください」
私は笑みを浮かべて頷く。
御影も落ち着いた表情に戻り、静かに頷いた。
御影と別れたが、私にとって、ここまで分かれば十分だ。後は、行動に移すだけだ。
私は、無茶はしない。
私がするのは無謀だ。
K島に行く。
そこに納得のいく回答が存在している筈だから。
そして、ニコライに会う。
その先は、その場で考えれば良いかな……。
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