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信念の地
私は今、某企業の船に乗っている。K島に行ってくれる社員を常に募集していたから、簡単に乗ることが出来たよ。
健康ならオーケーみたいな試験だった。筆記試験は簡単だったな。後は、パスポートを偽造するだけで済んだ。本名を使ったら、前の事件の担当刑事ってバレてしまうかもしれないからね。
船の環境は悪くない。観光船のような感じだ。
暇な時間が多かったので、船内の部屋の中でシャドーと筋トレに励んでいた。
身体が鈍っては困るからね。
船内での社員同士の会話は殆どなし。挨拶も軽く会釈をするくらい。
自分にとっては、都合の良い環境だ。
何気ない余計な会話には危険が潜むものだから。
K島に行けば重労働が待っている。土地開発に関する作業を行うとのことだったが、そこで行うのは全く別の作業だよな。
何をやらされるのか、皆目見当はついているけどね。
船が港に着き、私達は船から降ろされ、大型のバスに乗せられる。
バスで連れて行ってもらえるとはね。
流石、大企業だ。
数十分くらいだろうか。バスは止まり、辺鄙な所へと到着した。
ここが、ニコライが家族と過ごした漁村。
村の名前なんて覚える気が無かったけどね。
私達はバスを降り、某企業の上の人に連れて行かれるのだ。
広大なケシ畑へと!
麻薬を外国へと大量に運ぶのは、どう考えても難しいよね。
要は、K島で麻薬を製造して、R国の本土へと運び込んでいたということだ。しかも製造に携わるのは、某企業にとっては使い捨てのような社員。
某企業はK島への進出を、ニコライを通してR国に認可してもらう見返りに、麻薬を製造する人員を提供する約束をしたと言うことだ。
K島の小さな漁村。
R国にすら見捨てられている状態にある。
麻薬の製造もやりたい放題だよな。
目の付け所が良いな。
ニコライ!
お前があの時、知られたくなかった事にようやく辿り着けたよ。
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