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この度は永愛亭百周年記念おんらいん寄席にお越しいただき、誠にありがとうございます。この寄席の前座を務めさせていただきます永愛亭とんこと申します。
私の芸名はシェイクスピアなどの叙事詩でよく使われる頓呼法が由来となっております。ほら、あの「ロミオとジュリエット」とかで「おお、ロミオ、あなたはなぜロミオなの?」みたいな独り言を語るシーンがございますでしょう?
あれでございます。落語でもそこにいないはずの人物に語りかけることがよくございます。
え、寄席でそんな小難しい言葉出すんじゃねえって? これは失礼いたしました。
さて、この永愛亭の成り立ちをお話しますと、その昔演舞林という落語自由演芸場がございました。しかし無料で提供していたため、商売が成り立ちません。何かいい儲け話はないかと画策しておりました。
そこに新楽亭小薔薇という噺家が高座に上がっておりましたが、なかなか人気が出ず、悩んでおりました。
それもそのはず、演舞林には真打を目指して活躍する噺家さん達がごまんといたのですから。
こいつはまいったと小薔薇は考えました。
この小薔薇という人物、「俺は未来から来た」などとのたまう変わり者でして、常日頃から未来やら、異世界のことを吹聴して回る癖がございました。
そこで「よしっ!」と思いついたのは、誰も演じたことのない『えすえふ落語』という新しい小噺でございます。
えすえふ落語は異世界で起きたちょっとした出来事を面白おかしく小噺にしたものです。
すると、このえすえふ落語は目新しさに注目が集まり、一躍人気演目となりました。
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