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「そうして兄貴、入ってすぐに泣き入れて辞めたんじゃそれこそおやじの立場がないからさ。それから俺家出るから」
「仕事か?」
「女のとこに潜り込む。物書き目指すにはやっぱりヒモがいい」
幸太郎は笑って出て行った。
幸三は野毛の光陰座映画館にいた。ゲイ専門の映画を上映している。この映画館で知り合った客で友達がいた。関係はお互いの欲を満たすこと。毎週水曜日の午後三時が待ち合わせの時間。まだ一時間ある。幸三は空いている所に席を取った。この映画館はゲイ専門とあって相手を探し求めているベテランもいる。
「おこんにちは」
幸三の右隣に色の黒いおじさんが座った。べたっと肩を寄せて来る。
「こいて上げようか」
幸三の耳元で囁く。
「いや、いいです」
「いいのよ、只で」
誰がお前に金を払うかと言いたい幸三は立ち上がり席を移動した。
「恥ずかしいの?」
今度は左隣にべたっとくっ付いた。
「静かにしてくれませんか」
「ほらおったんてんじゃないの?」
幸三のモノをズボンの上から握り締めた。
「止めてください」
幸三は立ち上がり一番後ろの席に移動した。
「お冠ね?」
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