副団長はBL

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「布団を買わないと、幸三の液でカピカピになった」 「飛ばしは駄目だな、でもティッシュをあてがうと一旦気が散るし」 「幸三、俺と暮らさないか?」  幸三にとってはハードルの高い誘いだった。自分はゲイですと世間に公表するようで恐い。 「俺、おやじの跡を継ぐことにしたんだ」 「時計屋か?」 「時計の修理だよ」 「幸三んちは金持ちじゃないよな?」 「ああ、どっちかって言ったら貧乏に入ると思う」  大学行くならアルバイトするようにいつも母親に言われてた。どうせアルバイトじゃ不足するからその不足分は出してくれる。だけどそんなことで両親に苦労は掛けたくなかった。 「和樹んちは、金持ち?貧乏?実家は長野だよね」  和樹は答えない。 「喋りたくなかったらいいよ、気にしないで」  知られたくないことは誰にでもある。話すことで楽になると他人は宥めるが所詮他人事である。同情したフリをして欲しくない。 「俺んちおふくろが違うんだ。おふくろには俺より年上の娘がいた。中学二年の俺を二人で弄んだんだ。やられまくった。おやじに言うなと脅されたが、おやじに知られたらおやじに悪いと思っていた。だから黙っていたんだ」  幸三は聞かなければよかった。掛ける言葉が見つからない。『大変だったね』じゃそれこそ他人事である。 「気にするな幸三、俺は家を出たんだ。今はお前とこうしてるのが一番楽しい。あと二か月すれば金が溜まるんだ、ワンルームだけどマンションだぞ、バスタブはないけどシャワーがあるんだ。壁もコンクリートで隣に聞こえないっつうの」  和樹が笑った。幸三も笑った。      
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