副団長はBL

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「兄い、いいわよ~ん」  ミツとカツが抱き合ってヤジを飛ばす。 「放水はじめ」 「放水はじめ」  隊員が復唱する。見事火点に放水する。 「放水止め」 「放水止め」  完璧である。中田と幸三は一瞬目が合い気合を入れた。 「おさめ」  指揮者の号令で幸三は実地要領通りにとび口を抱えて持った。反転した。立ち眩みがした。あっと思った時には膝をついていた。 「ああっ」  会場から漏れる溜息がひとつにまとまった。 「幸三」  父の幸三郎が拳を握って目を瞑った。 「幸三、立て、立てよ、まだ終わってねえだろう」  声の主は和樹だった。 「か、和樹」 「幸三、立て、立って最後までやれよ。今止めたら前と一緒だろ、抜け出せよ幸三、また虐められる世界に生きるのか、立て、立て幸三、やり切ってから泣けよ。俺が付き合ってやるよ」  幸三が立ち上がる。 「幸三、最後までやろう」  中田が幸三の肩を叩いて言った。 「フレッー フレッー コ・ウ・ゾ・ウ」  小百合に肩車されたマサがエールを送る。 「フレッ、フレッ、幸三、フレッ~」  全員で声を合わせた。  
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