SISTER

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 結論として、僕は10,000ナゾールを支払った。  手術後の姉さんは特に後遺症もなく元気になっている。その後、件の修理屋と良い仲になったらしい姉さんは僕とのやりとりを小耳に挟んだらしい。 「愚弟、どうしてROBOを売らないでいてくれたの?」 「別に」  僕達が交わした会話はこれだけだった。少しだけ仕事を増やした僕は前よりも忙しい日々を送っている。肉体労働なんて柄でもないのに、工事現場を選んでしまったのは効率よくお金が手に入るからだ。こんな冬の寒い日に凍えそうな屋外で鉄を持ち運びするなんて正気ではない。 「馬鹿みたいだ。僕達は」  人間よりもロボットが好きと言いながら、結局は人間を選んでしまう姉も、姉が嫌いだと言いながら結局は姉に好かれたい僕も結局は同じ穴のムジナだ。  血は水よりも濃いとは言うけれど、結局は僕は自分が見下していた姉と同じ行動を取ってしまう。傷つきたくもないくせに、自ら傷つく道を選びがちだ。 「僕の病気は誰が治してくれるんだろう」  お金を払えば治療してもらえる身体の不具合や、回路を修理すればどうにかなるロボットとは違う僕の歪みは酷く不恰好で治しがたい。
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