真っ赤な

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 次の日、わたしは行ってきますも言わずに学校へ向かった。幸い、虐められているわけではなかったから話し相手はいた。楽しくもない会話をお互い探り探りするだけの相手が。だったらまだ、嘘だらけの家にいるよりもずっといい。  一日中頬を引きつらせていた笑って過ごした放課後。汗を流すためにそのまま浴室へ直行した。これが悪かったんだ。不思議に思ったお母さんが急に脱衣所のドアを開いた。咄嗟に隠した傷跡もむなしく、それらはお母さんにばれてしまった。 「あんたそれ……」 「っ……」 「お母さんいつも言ってるよね?何してもいいから自分の身体だけは傷つけるなって」  わたしはそのとき、お母さんの涙を初めて見た。 「そんなこと言われたって!普段から嘘ばっかついてるお母さんの言うことなんて聞けるわけないじゃん!」  お母さんを押しのけ部屋へ戻ったわたしは布団にくるまり傷口をなぞった。ひりひりとするその感覚が、今この時に生きているのだと実感させてくれる。  その日からわたしは学校へも行かなくなり部屋からも出なくなった。
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