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「――結局彼女どころか友達も出来なかった……」 響生はポケットに手を突っ込みながら、とぼとぼといくら進んでも代わり映えのしない田んぼ道を歩いていた。 幾度か話しかけようとはしたのだが、授業中にも1羽のカラスを教室に向かい入れ、執拗につつかれたのがトドメだったのか、クラスのメンバーは誰も目を合わせてくれなかった。 (まあいいか。俺には九条ちゃんがいる……!明日登校したら、絶対仲良くなろう!) 視線を上げる。 田んぼ道は平たんで、たまにある杉林も皆同じように見え、高い空と遠くに見える山では距離を測ることが出来ず、どこまで歩いてもちっとも進んでいないような感覚は、薄く恐怖すら覚えた。 しかもなんだかーー。 (見られている気がする……) 響生は振り返った。 そこには数軒の家と、深い緑色の杉林があるだけで、動くものも聞こえる物音もなかった。 (気のせいか……) また歩き始めたそのとき、 「よう、アルちゃん」 今まで田んぼしか見えなかった前方に、男が3人立っていた。
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