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ぐんぐん迷いなく進む女子高生についていくと、生垣を回り、田んぼ道を抜け、杉林の方へと歩いていく。
(会ってその日に、私と付き合ってくれませんか?だなんて、田舎の女の子は積極的だな!)
響生は変な感動を覚えつつ、小枝を踏みしめながらその小さな後ろ姿についていった。
(こんな人気のない方に俺を連れて行ってどうするつもりだ?……は!まさかキス?いや、それ以上とか!?どうなってんだよ、田舎の貞操観念は!)
妄想を膨らませながら口を押さえながら、フリフリと目の前で揺れる小ぶりの尻を凝視する。
(しかし相手としては、申し分なし!)
「ここらへんでいいですかね」
そういうと彼女は振り返った。
「え」
響生が視線を上げると、そこは開けた神社になっていて、目の前には小さいながらも立派な祠が立っていた。
「突然ですが、あなた、ついてますよ」
「あ、う、うん。それはわかる!」
(転入早々、こんなかわいい子となんて、たしかについてる。つきまくってる!)
響生は頭頂部をポリポリと掻いた。
「わかってたんですか?めっちゃついてるんですよ!?私が今まで出会った男性の中で一番!!」
「あはは。一番だなんてテレるな。っていうか……」
言いながら響生は辺りを見回した。
「ここじゃないと、ダメ?」
「え?」
「人が来なそうなのはいいけど、ちょっと神様の前で不謹慎すぎるかなーなんて」
響生が苦笑すると、彼女は意味が分からないというように眉をひそめた。
(そうか。ここは田舎。いや、ド田舎。神社とか別に珍しくねえんだ。近所の公園くらいの感覚なんだきっと)
響生は彼女を真っ直ぐに見下ろして、大きく深呼吸した。
「俺、こんな髪型してるけど、そういうのはちゃんとしてるから」
「え?」
「付き合ってもないのにヤルとか、そういうのないから」
「は?」
「さ、さっきの返事だけど」
「返事?」
彼女の眉がますます左右非対称に歪む。
「付き合います。俺!」
そう言って昨日父親がしたのと同じように親指を突き出した。
「……理解が早くて助かります」
彼女は少し俯くと、ピンク色の唇で僅かに微笑んだ。
そしておもむろにセーラー服の胸元を開き、控えめな谷間をちらつかせつつ、中に手を入れた。
(おふくろ……俺、今日で童貞を卒ーー)
「悪霊……退散!!」
彼女の胸から出てきたのは、白いおっぱいなどではなく、
白い謎の粉末だった。
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