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「おお……!!」
響生は前を歩く女子高生の白い太腿を見つめた。
「おっはよー!」
そう言いながら茶髪の女の子が追い越していく。
長い髪の毛が鼻にかかり、シャンプーのいい匂いがした。
「これだ……!」
響生は拳を握りしめた。
「これだこれだこれだこれだ!!」
響生は叫びながら田んぼの向こうに聳え立つ山々を睨んだ。
「いるじゃん!女子!!こんな辺境の地にも!」
「――――」
真新しい学ランを着ている響生を振り返りながら、女子高生たちは眉をひそめた。
「なんか……危ない人がいるんだけど」
「今時金髪とか流行らなくない……?」
「もしかしてさ。あれじゃない?隣町で、通り魔事件があったじゃん」
「知ってるー。ナイフで複数の人が切られたんでしょ?」
「なんか目撃情報によると、若い男だったらしいじゃん」
しかし声を潜める女子たちの言葉を気にしない響生は、握りしめた拳を振り上げた。
「俄然楽しみになってきた!!俺のクソ田舎転校デビュー!!絶対彼女作ってやるぜ!」
「……クソ田舎って言われた……」
「デビューなんだ、あの金髪……」
「失礼なやつ……」
カエルの死体を踏んづけながら走っていく響生を見ながら、女子高生たちは呆然と佇んでいた。
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