戦い

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城戸だけ今日は出払っていた。 誠はエマと会議室で仕事をしていた。 田代が真剣な顔で、足速で会議室へと入って来た。その顔にはくまがくっきり付いており、田代が人知れず尽力したことを誠は理解した。 「皆さん、少しよろしいでしょうか?」 田代の大きな通る声で会議室は静まった。 ついに来たか。 会議室は静寂に包まれ、無慈悲な言葉がよく響いた。 「日本文化振興館計画は無期限休止となりました。」 誠とエマは沸き起こる落胆の渦の中、顔を見合わせた。 ダメだったか? 田代は言葉の先を続けた。 「なお、無期限休止は決定事項であり、今日をもって建築計画を除く、すべての行程はストップとなります。各担当の方は、関係者にそのようにお伝えください。」 会議室が慌ただしくなる。 そのざわめきの中、田代が静かに皆に頭を下げていた。 「力及ばず、申し訳ありませんでした。」 消え入りそうな声、その目には悔し涙がにじんでいた。 するとその喧騒の中、誠とエマに城戸からのメールが届く。 メールを開いて見ると、2人の目には光りが宿った。 『新党の代表と会える日が決まった。』 まだだ、まだ終わってはいない。 だがしかし、ぬか喜びをさせてはいけない。 誠とエマはその日に向けて準備を進めた。
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