27人が本棚に入れています
本棚に追加
「先生、見て」
「ピアス、開けたのか?」
「うん。ちゃんと病院で開けてもらった」
「そっか。痛みは一瞬だけだったろ?」
「うん、確かに一瞬だった」
「そんなもんなんだって」
先生から痛いのは一瞬だけだと聞いていたのに、びびりな俺はやっぱり開ける寸前になっても「たんま!」って何度も病院の先生の手を止めていた。
それでも意を決して拳を握ると、一瞬だけビリッと痛みが走っただけですぐにピアスは開いていた。
「ねえ、先生」
「ん?」
「卒業式の日、話があるんだ。ここに来てもいい?」
「ダメだって言ったって来るんだろ?」
「まあね」
「だったらいちいち聞くことない」
「わかった。じゃあ、必ず来るから」
「ああ……」
あっという間に月日は流れて行った。先生のことを好きになってから約二年半という年月が流れ、気がつけば卒業までここにいることが出来た。
ある日を境に、あいつからの嫌がらせも落ち着き、それなりに自由に過ごせるようになった生活だけど、先生の所へは変わらずに通っていた。
だって、少しでも同じ時間を過ごしたかったから……
俺にとっての大切な初恋……
だから明日は胸を張って伝えよう。
本当の気持ちを……
最初のコメントを投稿しよう!