左耳のピアス

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「先生、見て」 「ピアス、開けたのか?」 「うん。ちゃんと病院で開けてもらった」 「そっか。痛みは一瞬だけだったろ?」 「うん、確かに一瞬だった」 「そんなもんなんだって」  先生から痛いのは一瞬だけだと聞いていたのに、びびりな俺はやっぱり開ける寸前になっても「たんま!」って何度も病院の先生の手を止めていた。  それでも意を決して拳を握ると、一瞬だけビリッと痛みが走っただけですぐにピアスは開いていた。 「ねえ、先生」 「ん?」 「卒業式の日、話があるんだ。ここに来てもいい?」 「ダメだって言ったって来るんだろ?」 「まあね」 「だったらいちいち聞くことない」 「わかった。じゃあ、必ず来るから」 「ああ……」  あっという間に月日は流れて行った。先生のことを好きになってから約二年半という年月が流れ、気がつけば卒業までここにいることが出来た。  ある日を境に、あいつからの嫌がらせも落ち着き、それなりに自由に過ごせるようになった生活だけど、先生の所へは変わらずに通っていた。  だって、少しでも同じ時間を過ごしたかったから……  俺にとっての大切な初恋……  だから明日は胸を張って伝えよう。  本当の気持ちを……
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