第一章 地下アイドルの幽霊

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 エピローグ。  というよりは、ただの後日談。  後日談というには長い話になるかもしれないけれど――これでこの話は一段落、ということを踏まえるならば少々長ったらしく話をしたところで文句は言われないと思う。もし、それでも我慢が出来ないのであれば許して欲しい。画竜点睛になるか、蛇足になるかは分からないけれど。  幽霊の正体については幾つか語られるべき疑問もあったのかもしれないけれど、実は身分証はしっかりと残っていたために、その名前を含めた正体が詳らかにされることとなった。死人に口なし、とは言うけれど、こればっかりは許してもらいたいものだ。  ずっと見つからなかったのだから、少しぐらい脚光を浴びても問題はない――のかもしれない。  そういうことを勝手に決めてしまうことこそが、そもそも死人に口なしという言葉が似合う顛末であって、それをいざ実行したところでそれを否定する人間がそもそも死んでしまっているのだから。まあ、それで暴走出来るという大義名分を手に入れた訳ではないのだけれど。  とはいえ、死体が出たのならば一先ず連絡をしなければならない機関がある。  お巡りさんこと、警察だ。  警察は事件であろうが事故であろうが、それを記録する第三者として存在しておくべきだし、何か起きたのならば呼んでおくに超したことはない存在である――とはいえ、悪戯電話は駄目なのだけれどね。そんなことをしたら、きっと自分が捕まってしまうだろう。ええと、それは一体どういう犯罪になるんだったかな?  ……話がずれたけれど、死体を見つけたからには警察を呼ばなければならない。当然やってきた警察官はどんな犯罪の可能性も考慮しなければならないのだから、ぼく達に事情聴取をする――とはいえ、やってくる刑事は大抵顔見知りだったりして、ぼくや神原の顔を見るなりつまらなそうな顔を浮かべて溜息を吐いたりするのだ。  あまりにも失礼ではあるかもしれないが、とはいえ、刑事の心情も理解は出来る。何故なら、死体が見つかったと思ったら大抵はこの二人が居るのだから、警察官からすればまたお前達かという話になってもおかしくはないだろう。もしかしたら警察のデータベースには、心霊探偵が絡んだ事件だけでフォルダ分けされているかもしれない、多分。
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