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寧ろもっと強い意味合いで、幽霊が絡んだ事件以外に全く興味を示さないし、その事件で見つかった死体があったとしても、その死因だとか理由だとかを調べることは一切しない。
そういった話は、全て警察に丸投げだ。
警察にしてみれば事件が一つ増えるし解決へ導けるやもしれないから有難い話ではあるらしいけれど――割り切っているといえばそれまでだ。
本当に、こいつは幽霊以外に興味を示さない――それ以外は、勝手にどうぞというスタンスになっている。
けれども、多いことは多いんだよな。
こういう、オカルトの事件ってさ。
「それじゃ、後はいつも通り警察に任せるよ。……あー、疲れた」
伸びをして歩き出す神原は、完全に一仕事終えた気分になっている。間違ってはいないが、依頼者からすれば消化不良感が否めないのもまた事実だろう。
「……ありがとうございます」
最後に、マリサが頭を下げた。
「何を?」
何を、じゃないよ。
きちんと幽霊の正体を暴いただろうが。
「きっと彼女は殺されて……ずっと外に出られなかったんだと思います。けれども、わたしが見つけたから……、それでわたしに何とかして欲しいと思っていたのかもしれない。けれども、わたしは怖くて――」
「幽霊は怖いものだ。いいや、それどころではなく――非現実であるものは総じて恐怖を感じることは、人間の根幹に関わるものでそう簡単に矯正することは難しいことだろうね」
神原は笑みを浮かべて、さらに話を続ける。
「――だから、いきなり幽霊と仲良くなるのではなく、少しずつ恐怖心を減らしていくだけでも良いだろうし、関わり合いがないのなら別に無理してしなくても良い。恐怖を感じたこと、それは間違っちゃいない。別に良いじゃないか、事件が解決に導いたんだから。きみは幽霊を見て、幽霊はそれに救われた。――それ以外に、何があるというんだ?」
「そう……なんですね。別に、怖がったって良いじゃないか――って」
「うん。寧ろ、それが当たり前のスタンスってことだよ。それじゃあ、また機会があればよろしく頼みますね。あ、支払い方法は名刺の裏に書いてある口座かQRコード決済でお願いしますよ。僕ちゃんも生活がかかっているからさあ」
何か最後の台詞だけ聞いたらヒモっぽい話なんだけれど、まあ、ちゃんと仕事はしているからな……。ともあれ、これで事件は解決。
めでたしめでたし、といったところだ。
そう振り返りながら――ぼく達は漸くこのバックヤードを出て行くのであった。
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