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バックヤードがあまりにも広いのはちょっと驚きではあったけれど、幾ら地下だからと言っても広さには限界があるはずだし、一体どういう仕組みを使っているのだろうか。全くさっぱり見当がつかない。というか、幾らサンシャインズが稼いでいるとしてもこのオクセンを運営しているとは到底思えないし――これは否定している訳ではなく、謙遜の意味を含めていると言えば良い――、だとすると別の収入があるのか?
「サンシャインズは地下アイドルに留まらない活動をしているからねえ。メンバーのユウカだってこないだテレビに出ていたし、バラエティ番組で面白い回答していたのが良かったなあ……」
「いや、何で樋口が来ているんだ?」
今、ぼく達のメンバーを一人一人説明していくと、ぼくと、神原、そして樋口だ。樋口は絶対にサンシャインズに会いたいがためについて来ているだけだと思うのだけれど。
「部外者ではないし、別に良いでしょう?」
「まあ、一人二人増える程度でしたら……。けれども、一応言っておきますが……、落胆しないでくださいね」
「落胆?」
それって一体どういうことなんだろうか。
もしかして、サンシャインズには裏の顔があるとか?
「まあ、見てみれば分かる話ですよ。……やっと、到着しました」
気が付けば、ぼく達は楽屋の前に到着していた。扉の横の看板には、『サンシャインズ マリサ様』と書いてある。
「あれ? サンシャインズって仲良しだから楽屋も一緒って話を――」
「それはただの妄言でしょう。仲良くしているから裏でも一緒だ……なんていうファンの妄想に過ぎませんよ。そもそも、そんなことが有り得ると思っているのですか。仕事でもプライベートでも仲良くしている集団が居るなんてこと、殆ど有り得ませんよ。大抵は、片方が仲良いなら、もう片方は仲が悪いでしょう。それが真実です」
「えー……、知りたくなかったな……」
そりゃあ、ファンからすれば落胆することだろうし、知りたくないと言いたくなるのも分かる。
けれども、それも考えていた上でついてきたんだろう。だったら、仕方ないんじゃないか。
「まあ、マリサはまだ良いですよ。アイドルらしいアイドルですから……」
扉をノックしてから、マネージャーが開ける。
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