24人が本棚に入れています
本棚に追加
情緒不安定
「この泥棒猫!」強烈なビンタが私の頬を赤く染めた。
ある男性メンバーと私に共通の趣味があった事が最近わかり、ここ数日よくリビングで話し込んでいた。
普通であれば、別に二人でこっそり会っていたわけでもないし、そばに圭もいたので誤解されることは無いはずだが、ただただ半年間も船内に閉じ込められていては、ストレスも溜まるというものだ。その男性のカップルとなった彼女が、自分が個室にいる間に楽しげに話す私達に腹を立て、今に至る。
暴れる彼女は他のメンバーによって個室に連れて行かれた。
ここにいる女性は温厚な方ばかりだと思っていたので、油断していた。
私は頬を押さえポカンとしていると、圭が冷たいタオルを持ってきてくれた。
「コレで冷やして。ただ、自分の言動には細心の注意が必要だよ。ここでは自分を守ってくれる法律が存在しないからね。…そういった取り決めも必要だな」
もし私が彼女に刺されても、彼女は非難されるだけで警察に捕まるわけではない。あと1年と半年の間穏やかに過ごすには、他人に干渉しない事。関わらなければ、歪み合うこともない。
ちなみに刺されるなど大怪我をした場合、船内に『医療カプセル』というものが存在し、そのカプセル内のベッドに寝て数日もすれば回復して出て来られるというけど…試す気にはなれない。
最初のコメントを投稿しよう!