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そんなの無理だ。
地球が存在しているとわかった以上、受け入れられる訳がない。
「私…地球に帰りたい。大切な人達に会いたい」つい本音が漏れた。
「そう…わかった」
圭はすんなり了承してくれた。
「え?ち、地球に帰れるの!?」
逆に私は驚き、大きな声を出してしまった。
私が地球に帰るという事は、圭は強制労働ということになる。いや、そもそもどうやって帰るのか…。
圭は自分の指先をちぎり、プゥッと風船のように膨らました。
「え?あ、私!?」風船は私が眠った姿をしていた。
「これをダミーにして、他のメンバーには君が病気で眠っていることにするよ」そう言って風船の『私』をベッドに寝かす。
「1人用の脱出艇がこの真下の収納庫にある。それで奈緒は地球に帰るんだ。大丈夫、自動操縦にしておくから」圭は床に設置されていた隠し扉を開けた。
潜水艦のような形の脱出艇が1艇。
圭がその脱出艇の座席に飛び乗り、何かを操作する。
「さ、奈緒。急いで」
圭が両手を広げ、床上の私に降りてくるよう催促する。
「私だけ?他のみんなは!?…圭は?」
「僕は一緒に行けない。惑星Rに帰らないと。他の女性達は…その、僕達と繋がりが強い程、発する催眠フェロモンのようなものを嗅ぎ取り、僕達の事だけを信じ込んでいるから、君が『地球は滅亡していない』と言ったところで聞いては貰えないよ」
「繋がり?」
「うん、心の繋がりや…肉体的な繋がり」圭は困った顔で笑った。
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