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愛に気づいた時
私は圭に手伝って貰いながら、脱出艇がある床下へ降りた。
「脱出艇が地球へ向かっている間は、きっと意識が飛んでしまうだろうけど、ちゃんと人気のないところに到着するから安心して」
そして圭は、私が地球に着いた時の身の振り方を教えてくれた。
私のダミー風船が植物状態のように眠り続けているはずだから、見つけて入れ替わるように、と。
まるで私の気が変わってしまわないうちに別れるかのように、圭は急いで私を脱出艇の座席に押し込んだ。
脱出艇の扉を閉めかけた圭は私を見つめ、言った。
「本気で君と一緒に生きたかった。本当に…君を愛していたんだ」
圭の瞳から涙が溢れた。
圭が扉を閉めた瞬間、私が乗った脱出艇は宇宙船から飛び出した。
辺りは一気に漆黒の闇。無数の星達。
コレ、本当に地球に着くの!?
そう考え終わる間も無く、私の意識は途絶えた。
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