目覚め

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目覚め

「良かった。目が覚めたね」  眠りから覚めた私の目の前に、安堵した表情の見知らぬイケメンの男性がいた。  私は飛び起き、辺りを見回す。  簡易ホテルを思わすような、せまい質素な部屋。  部屋には私が眠っていたベッド。机、椅子。  そしてドアと小さな窓。部屋は明るく暖かいが窓の外は真っ暗で、今は夜の様だ。 「あ、あの…ここはどこでしょう。私は何故ここにいるのでしょうか」  緊張と不安で心臓がドキドキしてきた。一体何があったの?  着衣に乱れは無いようだ。ひとまず安心。  病院?ドアの向こうから誰かの笑い声が聞こえる。 「覚えていないのかい?まぁ、無理はないね。とても衝撃的なことだったし」  その男性は表情に影を落とした。  衝撃的なこと?  私が覚えているのは、朝職場に向かう途中、いつものように近道の路地裏を通って…。 「地球が滅亡したんだよ」  あぁ、それは衝撃的ですね…って、ええぇっ!? 「ごらん、窓の外を。ここは宇宙空間だ。僕たちは死にゆく地球から脱出することに成功したんだよ」  私はベッドから飛び出し、窓から外をのぞく。  普通の民家ではあり得ないような厚さと何層にも重なった窓ガラス。  そして、果てしなく続いているのだろう漆黒の闇と小さな星の瞬きが天も地も関係なく広がっていた。
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