なくよ鶯、新都心!

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「これからぼくたちが行く星は、どういう星か説明しておこう」 船内の通路でタブレットを取り出すと、スコット船長はディスプレイにペンを指しながら説明を始めた。 「まず、この星がぼくたちの住む星だ」 星の中心で赤く輝くのがコア、そこから左右に伸びる線が恐らく赤道だろう。東西に大きな陸地が二つあり、それぞれアメリカ合衆国と中華人民共和国がある。南半球から北半球 にかけて赤からオレンジ色に変色している。これはわたしの星をレントゲン撮影したものだろうけど、確か北半球側は黄色から白みがかっていく筈では? 「この色は、温暖化が相当進んでるようですね?」 「そう、太陽系の星は気温の上昇が激しく海面の膨張が早いのが特徴だ。だが、熱要領のある海がない星だとどうなるかな」 太陽系の星を順番になぞっていくと、真っ赤な星ばかりがディスプレイに表示される。 「気温がわたしたちの星よりはるかに高いですね。太陽の紫外線の強さも倍。確かにわたしたちの星の資源を求める訳です。それと到着してからがキツくなると」 「察しがいいね、到着は予定通りにいけば夜だから紫外線も弱いだろうが、翌日から熱くなる。だからぼくたちは、食べて体力を付けておくのさ」 貿易船を自動運転にしたのは、到着してからの仕事に備えて、食事をする為だったんだ。スコット船長は「みんな、そろそろ食事にしようか」と遣星使たちに呼び掛けた。
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