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研次の部屋で、二人はどうやって探すかを話し合った。
高校時代に付き合っていたはずなのに、研次は恵美のことを殆ど知らなかった。
恵美の友達や、恵美以外の人との繋がり。
ましてや家族のことなど、兄妹がいるのかとか、両親は二人とも健在なのかとか、全く話したことが無かった。
万事休すだった。
「なあ研次。恵美ちゃんから届いた手紙を、俺も読んでいいか?」
「なんで?」
「いや、もしかしてだけど、何か手掛かりが見つかるかもしれないかと思って」
「まあ、そういうことなら……ちょっと恥ずかしいけど、いいよ」
一番最後の手紙を読み終わった彰は、丁寧に封筒へ戻し、研次に渡した。
「率直に言って、お前の彼女、達筆だな」
「だよな。それで、何か分かった?」
「会うのが楽しみって書いてある。研次のことが嫌いになった訳じゃなさそうだな」
「俺もそう思う」
「とりあえず、恵美ちゃんが訪れた場所に行ってみないか?」
彰の提案に賛同した研次は、手紙の中で、恵美が遊びに出かけたエピソードを拾い集めてみた。
動物園やお城など、観光地へ遊びに行ったことを書いていた。
手掛かりの取りこぼしが無いように、五年前の手紙から順に、恵美が訪れた全ての場所へ行くことにした。
頼もしいことに、彰もお供してくれると云ってくれた。
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