第1幕    永遠の彼

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ーウィーンー 店の入り口が開くと同時に、みすぼらしい姿をした中年のおじさんが入ってきた。 「いらっしゃいませ」 おじさんは頭をガリガリとかきながら臨月とも言わんばかりのだらしないお腹を揺らし、雑誌の方へ向かって行った。 そして何やら独り言をぶつぶつ言っている。 (やだ~…出来れば対応したくないよぉ) 隣のレジにバイトで入っている高校生の方へ行って欲しい。 そう思った私の願いも虚しく、中年おじさんは私のレジへやってきた。 そして台の上へ品物を置いた。 「…いらっしゃいませ」 私は諦め、商品を手に取り、バーコードをピッと読み込んだ。
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