第1幕    永遠の彼

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「あーもう、どうなんのかねぇこの国は。どんだけ金巻き上げりゃ気が済むんだよちきしょーめ。」 私に言っているのか独り言なのか、とにかく中年おじさんの言葉を無視した。 「金なくなっちまうよ。働いてもおめーらの為に働いてるみてーじゃねーか。」 全ての商品を打ち終わり、中年おじさんに合計の金額を言おうとした時だった。 「なぁ?お姉ちゃん?」 ー!? (え?何?) 中年おじさんが突然話し掛けてきたのだ。 「消費税だって今は15%だろ~?来年はついに20%になるって話じゃねーか。やってらんねーよなぁ?」 「…そ…そうですよね。確かに高過ぎですよね。」 客に話し掛けられたら応じることも接客の大事な仕事だ。 私はそれとなく無難に答えた。 すると中年おじさんは続けて話す。 「いやさ、ほんと困るのよ。でさ、俺と同じような連中が集まって、この国に復讐してやろうっていうテロ…あっ!」 ?? 何か今とても物騒なワードを聞いてしまった気がする…。 「いけねいけねっ!俺ってば酔っ払いすぎだな!しゃべっちまうとこだった!えーっと、合計が…」 中年おじさんは表示された金額分のお金を釣り銭なく出した。
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