第1幕    永遠の彼

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退勤時間になり打刻して店を出た。 すると外は毎日のように開催されているデモ行進が行われ、集まった人が流れるように沿道を歩いていた。 手には、 "消費税下げろ!" "税金が高くて生活していけない!" "国は金の猛者!国民を殺す気か!" "自殺者が多いのは国のせい!立派な人殺し!" など、過激なメッセージを掲げた人たちばかりだ。 本当にここ数年で景気は更に悪化し、生きずらさを感じている不満や不安は当然私にもあった。 だが、このような大胆な行動を取ることは嫌いだ。 私はデモ隊を通りすぎ、アパートへ辿り着いた。 ドアに鍵をさして回し室内へ入ると、はぁ~…というため息が一気に出た。 毎度のことだが、デモ隊をかいくぐって行くことは簡単なことではなかった。 本当に列は途切れることがなく、このアパートへ着く為には間を割って行かないとならないからだ。 冷蔵庫から冷えたコーラを取り出し、ゴクゴクと一気に飲んで渇いた喉を潤すと、夕食の準備に取りかかった。 今日は拓海の大好きなカレーライスだ。
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