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「拓海?カレー出来たよ。」
声をかけると、拓海は一瞬ハッとしたようだった。
「あ、あぁ、ははっごめん、食い入るように視ちゃったよ。」
「ふふっ、食べよ」
顔つきは、いつもの彼に戻っていた。
手を合わせ、いただきます、と声をかけると、拓海は一口目でスプーンいっぱいに口に含んだ。
とても幸せそうな顔をして。
「うまい!最高!」
そう言うと、次から次へどんどんカレーを口に入れ、あっという間に平らげてしまった。
「おかわり欲しい!」
「分かった(笑)」
席を立ち、カレーをよそいに行く。
そして、ふとさっきのニュースを口にした。
「銀行…、貯めてたお金持っていかれるなんて許せないよね。せっかく2人で頑張ってきたのに…。そんな行動に出るなんて信じられない」
「…うん。」
拓海の言葉は、その一言だけだった。
その後は、いつもならベッドで愛を確かめ合う行為が行われるところだが、その夜は何もなく次の日の朝を迎えることとなった。
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