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帰宅ラッシュの時間帯、人通りの多い大通りのケーキ屋の前に沢山の人だかり。
救急隊員が必死に処置をしている周囲を、野次馬が興味本位で取り囲み覗き込んでいる。
潰れたケーキの傍ら、心臓マッサージを受ける男。
目を大きく見開き、恐怖に怯えた表情のまま硬直していた。
「今月で何人目だよ!!AED早く!!」
文句を垂れ流しながら処置をする隊員を遠くから見つめていたのは、噂話で盛り上がってた4人組の女子高生。
4人とも携帯を持ち、微笑みながらその現場を眺めている。
「知ってる?午前0時〇〇ビルで見上げたら、首が降ってくるんだって。それを自分だと認識したら最後、死んじゃうんだ〜」
「そのビルが怪談で話題になってるのに、そのビル前での死人が居ないんだって〜」
「ビルの前に0時に立ってる、そんな幻覚を見てるせいらしいよ〜」
「死んだ場所はバラバラなのに、みんな心臓発作で死んじゃうんだ〜。自分が死んだって思い込む夢でも見てるのかな〜?」
4人組はクスクス笑いながら、男に背を向け人混みの中へと消えていった。
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