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驚き1歩2歩引き下がる、重く柔らかい物がグシャリと潰れる音が聞こえる。
足元に広がる血溜まりの上、降ってきたそれは紛れもなく人間の頭部だった。
後頭部が潰れ、大きく目を見開いた両目が空を仰ぐ。
男は手で口元を押さえ、逆流して来そうな胃液を寸前で飲み込む。
その頭部は、紛れもなく自身のものだった。
自身を落ち着けようとこれは夢だと言い聞かせるも、徐々に視界が揺らいでいくのが止められない。
いや、違う。
揺らいでいるのではない、視界が徐々に傾いていくのだ。
頭の理解が追いつく前に、男の首がずれ落ちていた。
ドシャッと鈍い音も、さっきまで見下ろしていたはずのもうひとつの顔も、はっきりと鮮明に脳裏に残る。
その流れがひとしきり終わると、幕が下りたかのように視界が真っ暗になった。
意識も途絶え、男の目が醒める事は2度と無かった。
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