一人の時間

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一人の時間

家に帰ってきた、服を着替えてムギ姫に謝る。 「ムギ姫」にゃー 「ごめんね。」にゃー ムギ姫にご飯をあげて、ソファーに座る。 ヤバい、不安感きた。 でも、すぐにひく。 よかった。 最初の頃は、不安感がきたらどうしようもなく逃げ出したくなった。 この場所から、今から、自分から…。 でも、我慢して我慢して…。 何とか通常状態にいれるようになった気がする。 病院に通った方がいいのかな?って思ったりしたけど、自力で頑張りたかった。 頑張って、頑張って、結果あんまり治ってないけど…。 それでも、逃げなかった自分に拍手をおくってあげたい。 なんてね。誉めるのは、結局自分しかいないんだよ。 [つきました。] [大丈夫?不安感?] [今のところ] [ダメだったら言って] [どうして?] [行くから] [いいよ。そんな事しなくて] [俺が、したいから] [ありがとう] そこで、終わった。 心配されてる。 なんか、嬉しかった。 心配されるって嬉しい。 勇作にも、心配よくされてる。 昔は、自立心を持っていた。 一人でいる事なんて何も怖くなかったのに。 一人でどこにでも行けたのに。 なんか、結婚したら弱くなった気がする。 結婚しなかったら、こんな風にならなかったのかな?って…。 結婚して最初の頃は、埋まらない孤独を抱えていた。 二人でいても寂しくて、孤独だった。 はぁー。 なんか、疲れてきた。 考えると苦しくなってきた。 ちょっと、寝ようかな。 ベッドに横になる。 目を閉じる。 怖くないよ。大丈夫。 そう自分に言い聞かせるけど、無理無理。電気は真っ暗には出来ない。 とりあえず、テーブルランプだけつけて眠ろう。 ゆっくり目を閉じた。 一瞬寝てた。心臓がドキドキしてる。 ヤバい、不安感くるかもしれないからちょっと待ってから起き上がろう。 ブーブー  たつみ 「もしもし。」 「寝てた?ごめん。起こした?」 「ううん。さっき、起きたから」 「そっか、よかった。」 「うん。」 「大丈夫?」 巽君の声聞いてたら、ちょっとマシになってきた。 「マシになってきた。」 「ヤバかった?」 「うん。不安感がきそうだっただけ」 「おさまってよかった。」 「ありがとう。」 優しい声。癒される。 「心配してくれてるの?」 「うん。心配だった」 「大丈夫だよ。何とかやってきたから」 「そうだけど、これからは協力したいよ。」 「そんな事」 「協力するから、あんたの不安感なくなるように…。大丈夫、そうなれるから。」 「なくなるって事?」 「うん、絶対なくなるよ。俺、協力するから」 「ありがとう。」 「信じたら、そうなるから。大丈夫だから」 「うん。」 巽君に言われたら、そうなる気がする。 そうなれる気がする。 「信じてみる。」 「あんたは、自分が思ってるよりずっと強いと思う。」 「そんな事ないよ。」 「でも、強くなろうとすればするほど苦しくなっていくんだと思うよ。」 「そうかもしれない。」 「うん。俺、話たくさん聞くから。過去も今もこれから先も。だから、たくさん話そう。多分、あんたの心はそれを望んでると思うんだよ。」 「うん、ありがとう」 涙がスッーって流れてきた。 巽君の声に、言葉に、襲ってきそうになる不安感は消えた。 きっと巽君には何かわかってるんだ。 私の中にある何かを多分気づいてる。 「電話してたら、マシになる?」 「うん。大丈夫」 「よかった。」 「ありがとう。」 「うん。あのさ、俺。あんたが乗り越えていく手伝いするよ。」 「ありがとう。」 「乗り越えていけるよ。出来る事はするから…。離れていたって出来ることはあるから」 「ありがとう。」 「また、不安になったら電話してきて。俺起きてるから」 「うん。寝るなら、メールする」 「わかった。じゃあ」 「じゃあ、また。」 巽君と電話を切った。 昔は、お風呂も一人の時は入れなかった。 でも、今は大丈夫になった。 ゆっくりしか元に戻らない。 巽君が、手伝ってくれるなら。 私、元に戻れるかもしれない。 完璧じゃなくても、前みたいに一人でも平気になれるかもしれない。
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