嬉しかった

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嬉しかった

車に乗り込み流れる景色を見つめながら、一人喜びが隠せなかった。 「りーちゃん、嬉しそうだね。」 「うん、芹沢龍の舞台を最後まで見れたんだよ。それだけで、幸せだよ。」 「不安感なく最後までいれてよかったよ」 「うん、よかった。」 本当は、それだけじゃないんだけどね。 気づくと眠っていた。 「ついたよ」 「ありがとう」 私は、車から降りた。 家に入るとムギ姫が、お迎えしてくれていた。 「ムギ姫、今日お母さんちゃんと舞台最後まで見れたんだって」 [にゃー] 「そうだな。よかったな」 [にゃー] 勇作は、ムギ姫を撫でている。 勇作は、ムギ姫を置いて、シャワーに入りにいった。 ブー、ブー [ついた?] [はい、巽君は?] [まだ、新幹線] [ついたら、連絡下さい] [はーい] メッセージは、終わった。 戻ってきた勇作は、水を飲んで話しかけてきた。 「じゃあ、俺はビール飲んだら寝るよ」 「うん、わかった」 何でかな…。 不思議と勇作に、申し訳ないって気持ちはわかないんだよね。 巽君に出会ったお陰で、私はやっと不安感から解放された。 ずっと、解き放たれなかったから…。 お茶をいれて、隣に座った。 「また、sns見てるの?」 「うん、ごめん。」 「芹沢龍の?」 「ううん、友達の」 「それ、見たら嫌な思いするでしょ?」 「うん、そうだね。」 「あんまり、見ない方がいいよ」 そう言って、勇作はビールを飲み干した。 もうすぐ、友達は子供が産まれる。彼女のsnsは子供で(あふ)れるだろうね。 また、こうやって縛りつけられる自分が嫌いだ。 「さあ、寝るよ。りーちゃんも早めに寝なよ」 「わかった。」 勇作は、ギューと抱き締めてくれた。 「おやすみ」 「おやすみ」 私は、勇作が寝に行ったのを見てから、お風呂を沸かしに行く。 昔は、勇作が起きている時間にしかお風呂に入れなかった。 今は、眠った後でもお風呂に入れるようになった。 それだけでも、私は少しだけ成長した。 [お風呂が沸きました♪] バングルを置いて、お風呂に向かう。 「ムギ姫、お風呂に行ってくるよ」 [にゃー] 「よしよし、ゆっくりしてね」 [にゃー] そう言って、お風呂に入る。 巽君のお陰で、一人でもいれた。 これから、もっと変われる気がする。 お風呂に入りながら、今日の舞台を思い出す。 芹沢龍と話せた。 嬉しすぎる。 でも、それよりも巽君がわざわざ会いに来てくれた事が嬉しかった。 巽君に会えた事が、嬉しかった。 後で、写真送っとこう。 お風呂につかりながらも、ニヤニヤが止まらなかった。 お風呂からあがって、化粧水をつける。 今日は、疲れたけど楽しかった。 お水を飲みながらスマホを見つめる。 ブー、ブー [ついた] [よかった。ゆっくり休んでね] [ちょっと話せる?] [大丈夫だよ] 巽君から、電話がかかってきた。 「もしもし」 「今日、頑張れたんだな」 「うん、ありがとう。巽君のおかげだよ。バングルもらったから」 「つけててくれて、嬉しかったよ」 巽君の声は、安心する。 「旦那さんと帰ってるのみた。あんな顔するんだなー。でも、ヤキモチは妬いてないから」 「アハハ、何それ?」 「だけど、龍には妬いた。何か、あんたを取られたくなかった。」 「嬉しい事言ってくれるね。嘘でも、嬉しいよ」 「嘘は、つかないよ。あんたが、幸せになれる方法ないか考えてる。ずっと…」 「ありがとう」 「また、sns見てるだろ?」 「何で?」 「旦那さんが寝てるから、電話にでたんだろ?じゃあ、見てるよなって思って」 「もうすぐ、友達が出産だから…。多分、そればっかりになるんだろうなって。嫌いじゃないのに、振り回されて馬鹿みたいだよね」 「本当に、赤ちゃん欲しいんだな」 「巽君だって、雑誌で語ってたよね。」 「龍は、結婚興味ないって。俺は、したいよ。でも、考えた事なかったな。あんたみたいに傷つく人がいるの…。俺は、仕事がら聞かれて答えてるけど…。まだ、結婚にはほど遠いよ。まだ、相手いないし。でも、結婚したら欲しいよな。赤ちゃん。でも、それが絶対になったら辛いよな」 私は、泣いてしまってた。 「諦めても、諦めても、追いかけてくる。それが、たまらなく嫌なの。」 「そうだよな。」 巽君は、そう言ってからjewelの歌を口ずさみ始めた。 「君が泣いている世界が♪」 その歌声に泣いてしまった。
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