パンツ

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パンツ

友人が変態だった。 ユウジンがヘンタイだった。 カタカナにした所でこの状況が緩くも和みもするわけではない。 ヘンタイ、変態、編隊、変体。 そう言えば、蝶が羽化するときも変態って言うんだっけな。まあ、友人は人間だが。 その友人は俺のパンツを、被っている。 その日は、テスト明けで、打ち上げと称して俺の家で集まることになっていた。部活に入って汗水流して青春するわけでもなく、喧嘩に明け暮れて黄昏るような河原があるわけでもなく、進学に向けて夜遅くまで塾通いをしているわけもない、いつものメンバーが集まる予定だった。 場所提供という事で、早めに家に帰って部屋を簡単に片付けていた。テスト勉強という名目の下散らかしていたツケがたんまりと残っていたからだ。服も下着も制服も寝巻きも今から仕分けるにはゴチャゴチャしていた。クローゼットを開けて空いているスペースに押し込む。他の物も邪魔にならない程度に脇に避けてテーブル回りを人が座れる場所にした。 部屋着に着替えていると、玄関のチャイムが鳴った。インターフォンを見ると、見慣れない顔。いつもの馬鹿ヅラは後ろでニヤケている。 何事かと思い、玄関まで早足で駆ける。ドアを開けると、その見慣れない顔の持ち主はこう言った。 「え、っと、良かったら俺も混ぜてくれないかな?」 ジュースやスナック菓子やらがパンパンに詰まった袋を持って、馬鹿ヅラ達はとっとと部屋に向かう取り残された俺とコイツは暫し沈黙の中にいた。 友人、と言えば聞こえはいいが、俺らは一時期友人よりも深い仲だった。 恋人、と言っていいのか分からないが、友人同士ではキスはしないと思う。 どちらから告白するでもなく、いつも一緒につるんでいて悪ふざけの延長でやったキス。面白がっていた俺と違い、友人の真っ赤になった顔を見て、キスした事を後悔した。 それ以来疎遠になり、というか俺が一方的に遠ざけてしまいクラス替えのタイミングでグループも分かれた。普通クラスの自分と、特進クラスのアイツとではつるむ仲間も変わってくるから。 アイツはあの時のことを怒っているんだと思う。おそらくファーストキス。それをこんなどうしようもない同性に奪われたんじゃあ怒りを通り越して呆れたと思う。
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