パンツ

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西〇維〇風に書くとこうなる 友人が変態だった。 「友人が変態だった」という事実は、彼の人間性に対する一層の謎を紐解く始まりに過ぎない。ユウジンがヘンタイだった。カタカナに表記しても、その異様な状況に和みが漂うわけではない。 彼がヘンタイであることは、どこか陰鬱な衝撃を感じさせる。まるで不気味な虫が枯れ葉の下に潜むかのように、彼の奇妙な性癖が控えめに匂い立つのだ。変態、変体、編隊。そんな言葉が頭をよぎるが、まるで迷子のパズルピースをはめ込むように、全体像はまだ浮かび上がらない。 そんなことを考えているうちに、蝶が羽化する過程を思い出す。蝶の幼虫が繭を紡ぐ姿は、まるで変身の神秘を示しているかのようだ。だが、この友人が人間であることは間違いない。彼の奇癖は、ただの変身では片付けられないものだ。 そして、その友人は俺のパンツを被っている。 日はテストが明け、打ち上げと称して我が家に集まることになった。部活に汗を流す青春でもなく、喧嘩に明け暮れる河原でもなく、熱心な進学塾通いでもない。ただ、普通の、友人たちが、普通の場所で集まるこのなんとも平凡な日常の一コマである。 部屋の片付けが手を進める中、テストの残滓が散乱している。服も下着も制服も寝巻きも、まさに混沌とした試練の跡だった。クローゼットに詰め込む一方、テーブル周りには人が座るための空間を確保した。 部屋着に着替える頃には、玄関のチャイムが鳴り響いた。インターフォンの画面に映るのは、見知らぬ顔。いつもの馬鹿面が、背後で興奮気味に待っている。 何かしらの予感が胸をよぎるが、迷いながらも玄関に急ぐ。ドアを開けると、見知らぬ顔の持ち主が口を開いた。 「あの、良かったら俺も参加してもいいかな?」 彼はジュースやスナック菓子を詰めた袋を抱えていた。馬鹿面たちは、袋を抱えて部屋に突入していく。取り残された俺と彼は、無言のまま少しの間を過ごした。 友人、という言葉が示すように、我々はかつて深い絆で結ばれていた。それは友情なのか、恋愛なのか、区別がつかない域だ。友人同士であるならば、キスなど交わすことはないはずだ。 誰かが告白するわけでもなく、いつも通りに過ごしていたある日、悪ふざけがキスへと変わった。だが、その瞬間、俺は違和感を感じた。友人の顔が赤らめる中、彼の目に映る感情は、冗談半分の行為とは異なるものだった。 その日以来、我々は疎遠となった。クラス替えのタイミングでグループも分かれ、普通クラスの俺と特進クラスの彼は、物理的にも心の距離が離れていった。アイツはあのキスを根に持っているのだろう。おそらく、彼の初めてのキスを、どうしようもない同性に奪われたと思っているに違いない。怒りも通り越して、呆れと失望が交錯していることだろう。 それでも、友人としての絆が断たれることはない。未来の扉は、いつか開かれるだろう。そして、ヘンタイと呼ばれる友人の中に、まだ解き明かされていない謎が待ち構えていることだろう。
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