◇07. epilogue

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◇07. epilogue

 教会の扉の前で、わたしたちは手を振る。――ブーケトスの時間だ。階段の下の広場で待つ女性たちに、背を向け、わたしは、花束を宙へと放り投げる。  歓声が起きる。受け取ったのは……須和島さんだ。今日も、とっても綺麗。きらきらしている。  彼氏さんは今日は就活で来られなかったが、きっとふたりは、間違いなく幸せだ。普段の、須和島さんの表情を見ていればよく分かる。  あの日、わたしたちの恋の成就をおぜん立てしてくれた張本人である杏音も、手を振ってくれている。赤ちゃんは宅で旦那さんが見ててくれるそうだ。……ありがとう。 「行こうか」 「……はい」そうして、新の腕に手をかけ、並んで――ゆっくりと階段を下りる。わたしたちの未来は、まだ、始まったばかりだ。――ダサいモブだった遠田も、いまの遠田も、全部全部が、愛おしい。わたしはこの先もずっとこのひとと歩いていく。限りある人生を。未来を。  フラワーシャワーを浴びながら笑顔で歩く。その先にある未来が、輝いて見えた。  ―完―
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