◇06. 向き合う時

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「……きみだよ」遠田は。わたしから、目を逸らさない。「亜土(あづち)という苗字をネタにしていることから、須和島さんが話しているのは、きみだということが分かった。それで。……きみに、会いたくなった。  須和島さん」目を向けた彼は、頭を下げ、「おかしなことに巻き込んで申し訳ない。それから、須和島さんの、彼氏さんにも、ご迷惑を、おかけしました」 「いや、おれは全然……」続いて、遠田と、わたしに、目を向けた彼は、「おれたちのことは平気なんで。せっかくなんで、ふたりで……話して来たらどうですか? この近くに、いい公園があるんで」  * * *  ……で。こうなると。 「そんなむくれんなよ。茅羽。……騙したことはおれが悪かった。ごめん」 「違う」花見町の有名な公園の、アヒルさんのボートに遠田と並んで乗るわたしは、足漕ぎをしながら、「違うの。そうじゃない。怒っているんじゃなくって……自分に腹が立っているの。  遠田のことをあんなに傷つけたくせに。……遠田に抱かれた自分が。そんで。避け続ける自分が」 「平方はおまえの気持ちを分かっているんじゃないかな。親友……なんだろ?」
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