饒舌な友人

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 私も存外楽観的なもので友人の話に納得して、もはや全て解決したような気になってきた。 「ちょうどいいじゃないか。警察の所に行って説明をしてやるといい。早い方がいいぞ。じいさんの部屋の犯人が(ひそ)かに逃げ出すかもしれない」 そして私は意気揚々と警察署へ向かった。 これは後日談だが、警察へ伝えた推理が随分と捜査の役に立ったらしく、真犯人の確保やら諸々のことが済んだあとにあの横柄な刑事から感謝された。ついでにことの顛末(てんまつ)も詳しく教えてくれたのだが、大筋は友人の推理の通りだった。あえて挙げるとするなら、犯人は鍵のトリックにおもちゃの銃などは使わず、洗濯バサミに釣り糸を括り付けて自分の手で投げたのだそうだ。 おわり
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