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刑事と4人の容疑者
鍵を拾ってここに来た経緯を説明すると、刑事はメモを指さしたりしながら一つ一つ確認するようにこう言った。
「事件の発見当時、部屋は鍵が掛かっていた。鍵を持っていたのは部屋の住人の河本さんと、あなた。部屋の中には首を吊った男性の死体。・・・まだこれから詳しく調べるんだけど、どうも首を締められた跡がある・・・」
そう言いながら私を怪しむ目で見てくる。
「首を締めてから吊るした・・・?」
私のことを疑っているのか、私の反応をうかがっている。
「大変な事件ですね」
言うことに困ってそう返事を返した。その後も質問は続き、普段もこの道を通るのかとか、どんな仕事なのか、被害者との面識はとか。私は被害者の顔も見たことがないと答えた。それから一緒に道路まで下りて鍵が落ちてきた位置を確認した。
「あそこの窓?」と聞かれた。各部屋に道路に面した窓が2つずつあって、303号室の向かって左側の窓、つまり3部屋合わせて6つある窓のうち一番左の窓が空いていたのでおそらくそこだと答えた。
いま見るとは他の部屋の窓はすべて閉まっている。鍵が落ちてきたときはどうだったか覚えていない。
また3階に戻ると、他の人にも聞くからしばらく待っていてくれと言われた。疑われているようなので、余計に疑われるもの嫌で帰りたいと言いづらかった。
改めて職場に今日は出社できないと伝えると、「もう他の人を呼んだ」と先輩社員に話も聞きたくないという態度で言われ、すぐに電話は切れた。
3階の通路で待っている間、他の人たちの聴取の話が聞えた。
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