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 翌日、朝のHRが始まる前に、また後ろのドアが突然開いた。 「ごめーん。昨日持って帰っちゃって!」  賑やかに後藤が入ってきた。 「これお詫び」 と、教科書と一緒にくれたのはうまか棒。 「じゃ、アリガトね!」 と軽く手を振り、直ぐまた自分のクラスに帰って行く。  教室中の皆が見ていた。すると…、 「何あれ、感じ悪」 と悪態をつく声が。近くに由依が立っていた。 「お前、いつ現れたんだよ」(席3つくらい向こうだろうが) 「もう貸さないほうがいいよ」 と母親のようなことを言っている。  その時、前のドアが開いて、小林先生が入ってきた。 「はい、おはよー!」  朝のHRの始まりだ。  ふと机の上を見ると、今貰ったうまか棒がない。 (あれ?)  落ちたかな、などと思って探していると、 (あっ、あのやろ)  由衣の机に乗っかっていた。    その数日後、マネージャー不在だったサッカー部にマネージャーがやって来た。  後藤七瀬、16歳。
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