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得点王
最悪に感じ悪い転入の挨拶をした割に、由依はあっという間に女子の人気者になった。背が高く、スポーツが出来て、さり気なく勉強も出来る。肩にかかる栗色の髪を靡かせ颯爽と歩く姿は、誰の目にも眩しい残像を焼き付けた。
「……部活、何やってんの?」
校門から下る坂道で由依が聞いてきた。
「サッカー」
「ふ~ん」
前を向いたまま話をしてるからどんな顔をしてるかはわからない。
「自分は?」
「バレー」
(まあ、スポーツは何でもいけそうだな)
「中学の時も?」
少しつっこんでみた。
「中学の時はサッカー」
「えっ、サッカー? 女子サッカーあったの?」
思わず顔を見てしまう。
「そう。得点王だよ」
さらっと言った。聞いてみるものだ。
(サッカーか。似合い過ぎだ)
この日を境に、話は普通にするようになった。
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