中井シンヤ 診療記録

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中井シンヤ 診療記録

〇月4日 14:30 身体を清拭している際、左上腕が落ちる。 その後、胴体のX-Pにて、左側の鎖骨、肩甲骨が消失している事を確認。 その部分が落ちると、その部分に関連していた器官までも失われてしまう事により、落ちるメカニズムが解明できないでいる事がもどかしい。 残り:両目、鼻、口、右上腕。 〇月11日 右上腕が落ちた。胴体と首だけになる。もうこれ以上落ちる箇所は見当たらない。 暫くは様子を観察した上で問題無ければ介護へ回すべきか。 〇月18日 排泄援助で身体を持ち上げた際に腰が落ちたと連絡が入る。 骨盤。仙骨から先が、熟した果実のようにべちゃりと落ちたという。 X-Pの結果、食道から胃、腸まで消失している。 生命維持に重要な機関が消失。IVH(中心静脈栄養)開始。 既に両耳は落ちており筆談で会話する。「痛いところは無い」との事。 その後「苦しまないように殺してもらえますか」と言われた。 何も答えられずに踵を返す。彼の顔を見る事が出来なかった。 来週はどこが落ちるのかが恐ろしい。
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