最後に落ちたのは

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最後に落ちたのは

〇月25日  回診に訪れると、彼は笑って私を出迎えた。  いつも通りの形式的な診察を終え、それではこのまま様子を見ましょう。そう言って私と看護師がカルテに目を落とし、目を上げると――  首が。彼の首が。  180度ひっくり返っていた。  いや正確には、頸部が突然絞り出した生クリームの先端のようにキュッと、自重を支えきれず、胸の前でぶら下がっていたのだ。 「あれ?なんかひっくり返って見えるんですけ――」  ぷつん  そう聞こえた時、彼の首はベッドに一度バウンドし、病室の床にごろごろりと転がった。  看護師が悲鳴を上げる中、私はナースコールを強く握りしめ、 「首が!今度は首が落ちた!」と叫んでいた。  その後、落ちた頭部が至急で検査に回された。頭部MRIには異状なし。脳波検査により大脳の活動は停止している事を確認。また死後変化も確認された事により、落ちた頭部は死亡している事が確認された。
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